といちゃん(1)の続き。

 

 


PCR検査の順番を待つ待合室に入ると、そこには、といちゃんのお友達がいた。

 

同じ濃厚接触者ちゃんたち数名で、プチ同窓会。数日振りに会うお友達。

 

子どもらが元気なのが、何よりも嬉しかった。

 

陰性を確かめるためにPCR検査を受けに来たんだ、と確信した。

 

すると、待合室の壁一枚向こう側から、幼児の泣き声。

 

「いや〜〜〜〜〜!!!」

 

顔を見合わせる、プチ同窓会の保護者ら。

 

同じ境遇の子をもつ親、以心伝心の瞬間。

目だけで相手を労ったのは、これが初めてだった。

 

目は口ほどにラララのラ、これだけマスク生活が続くと、人類は目で会話できるようになる!?

 

PCR検査はどうやら、鼻に突っ込む式らしい。
あのグリグリするやり方、どうにかならんかねぇ。

 

といちゃんの番が来た。

 

怯えないように、拒まないように、

「いざ、壁の向こうへ行ってみよう!
何があるのかなぁ♪」

 

探検口調で誘導した。

 

壁の向こう側は、わたしの妄想を遥かに超えていた。

 

 

▶︎▶︎
パンデミックの世界へようこそ

 

おふざけNGだけれどもう本当に、映画のセットだった。

 

鼠色のシートに完全に覆われたテント型の検査室に、白い防護服の方ずらり。

 

モンスターズインクのCDAをググっていただきたい。
アレに囲まれた感覚があった。

 

コレは!

といちゃん、絶対に泣くの巻。

 

探検ごっこなどやっている場合ではない。
さっさと切り上げよう。

 

白い防護服の方がお2人、おそらくお医者様。
お顔もほぼ覆われていて男女の区別もつかないけれど、大変穏やかに優しい口調で案内された。

 

落ち着いて検査できた。

 

淀みなく的確で、一切の動きに無駄が無かった。

 

さすがです。

 

 

▶︎▶︎
外へ出たら、空が青かった。

 

JR病院は、2週間ルールの間に自宅の駐車場以外で、といちゃんが外出した思い出の場所になった。

 

その日は、代々木駅前の鯛焼きは買わなかった。

 

陰性結果待ちの元気ハツラツといちゃんでも、万が一を想定して、鯛焼きを我慢した。

 

コロナのせいで、美味しい鯛焼き屋さんが閉店したら悲しいもの。

 

人気の少ない路地を選んで、ママチャリかっ飛ばして帰宅した。

 

といちゃんが陰性でありますように。

 

といちゃんのお友達も陰性でありますように。

 

_

 

翌日かかってきた検査結果の電話。

 

保健所「陰性でした」
わたし「あぁ良かった〜」

 

その陰性は、勝訴とか受験合格って聞こえるくらい嬉しかった。

 

といちゃんは大丈夫。

 

彼女の健康を知るのに、多くの方が携わっていて、時間も税金も費やされていて、医療技術も必要で、

 

これがコロナかぁ

と、

 

またしても見上げた空は青かった。

 

 

 

 

といちゃんPCR陰性の巻、おしまい。

 

※娘のPCRは、21年3月の出来事です。昨日今日のお話ではありませんので、どうぞご安心ください。

2021年5月7日ふみっ記

TOP