高橋宏幸 作/絵の絵本『ぞうくんのみつけたしごと』。

 

 

認知症の母に代わり実家を大掃除した際、
他の絵本やぬいぐるみと一緒に出てきました。

 

こうゆう物にお目にかかると、
急に母の愛を見せつけられるようで、かなり動揺します。

 

 

私は生まれて初めて“曝書”しました。
“ばくしょ”とは、書物を虫干しすること。

 

なかなかやる機会ないんじゃないかな。
だからこの言葉も知らなくて良さそう

 

なんだけど、本好きな私は何となく頭の片隅にずっとこの漢字がありました。

 

 

古い絵本を実家の縁側に一冊ずつ並べて干しながら、はて、本を虫干しするって意味の言葉は何だったっけ?

 

確か三水に暴露するみたいな漢字だったな、とその文字面を懸命に思い出そうとしました。

 

昔の人は紙を大切にしたんでしょうね。

 

カビ臭かった絵本は、お日様のおかげで、あっと言う間にただ古いだけの書物になりました。

 

これまた本の虫だった母の蔵書は、大量だし変色してるしギリシャ語だったりしたので、断腸の思いで処分しました。

 

 

みなさん、実家の整理をされたことありますか?

 

人はこんなにも物を所有するのか
過去は物の蓄積
実家には住人の何倍もの物がある
物は腐る
物は残る
物は余る
お金で買った物はお金に戻らない
大変
すっごい大変

 

というのが私の感想です。

 

“断捨離”を流行らせた人物はきっと、

実家の整理をしたことがあるに違いない。

と私は読んでいます。

 

 

もし私がお金持ちだったら、
自宅のお城に本を並べます。
紀伊國屋を買います。講談社も買おうかな。
そしてお金持ちは働かなくてよいはずなので、日がな一日読書します。

 

 

さて、写真の絵本です。
私はなぜ『ぞうくんのみつけたしごと』を整理しなかったのか。
つまり、捨てないで残した理由は?

 

答えは簡単、子供です。

私が子供の頃ワクワクした本を、子供に読み聞かせしたかった、ただそれだけのこと。

 

かっこよさげなギリシャ語より、有用の利を採りました。

 

これは案外、実家の整理のポイントかもしれません。

 

 

そして、本当に読み聞かせる日が来ました。

 

私の解釈で絵本を説明しますと、

無職で夢も名前も特にない“ぞうくん”が主人公。

 

“どうぶつのまち”へハローワークに出かける所から物語は始まります。

自己の特性を活かした職に就いている様々な動物たちを訪問する“ぞうくん”。
僕にやれること何かありませんか?
と手伝いを志願しますが、動物たちは相手にしません。

その特性の違いから、君には無理と一刀両断門前払いです。

 

困り果てた“ぞうくん”は、何を思ったか
犬のおまわりさんの交番へ出向きます。
働きたいのに仕事が見つからないんです。。。

「ぼくの しごと みつけて ください。」
んなこと相談されても、困ってしまってワンワンワワーン♪

 

そして、物語は起承転結の“転”へ。

ある事件をきっかけに、クライマックスは無事に訪れます。
めでたしめでたし

 

 

ン十年ぶりに読んでみて、驚きました。

 

ただ動物がたくさん出てくる好みのイラストの本だと記憶していたら、
これ自分の天職を見つける本でした。

 

 

学生の頃なりたかった夢は破れ、
大人になった私はこうして自分のできる仕事をやって、幸せでいます。

 

夢は環境に左右される、

と外国の哲学者ドナタカ・イッテタ。

 

例えば私が狩猟民族だったら、
「大きな獲物を捕まえたい」が私の“夢”になる。
夢なんてそんなもの、と

ムッシュ・ドナタカ・イッテタ。

 

やりたいこと、なりたいもの、は環境や経験や国籍に左右される。
でも、できること、個性、能力は私自身のものですよね。

 

しかし、この“私”とやらに気づかぬ内は、

なかなか幸せにはなれません。

 

あの人苦手だわー
げーっ難しい
面倒くさいからやりたくないよー
みたいな所で“私”が活躍を始める気がします。

 

また、そこから逃げる、というのもそれはそれで才能だと思います。

 

逃げる、止まる、引き返す、というサバイバル能力。必要ですよね。

 

私にできることがあるかな。
私にできることは何かな。
私にできることをやってみよう。

って順番で、今私は子育てサロンスイミーの仕事をしています。

 

 

そして一番の興味は、やはり子供。
うちの子は何ができるだろう、と研究するのが楽しいひとときです。

 

5歳の息子は、指図。
3歳の娘は、口答え。
が上手に“できる”子に育っています。あちゃー

 

 

 

2020年5月19日ふみっ記

TOP