これは485日後に引っ越しをする家族の実話である_
This story based on a true story.
4人家族構成員
マミィ(40代)
ダディ(50代)
アニィ(小学1年生の兄)
イモゥ(年中さんの妹)
エピソード2.
空
マミィの引っ越しが始まった。
もう!?
引っ越しまでにはまだ1年5ヶ月あるよ?
渋谷区内に越すには、まず間違いなく狭くなるだろう、と踏んだマミィ。
物を捨てることにした。
いや正確には、物を捨てるのが主ではない。
現在の住まいに空を作ろうと考えた。
マミィは空をググった。
空(くう)の意味
何も存在しないこと。
また、そのさま。
うつろ。
_goo国語辞典
4人家族の現在の間取りは、
・ダイニングキッチン
・在宅ワークスペース
・子供部屋
・衣装部屋=リサイクるん保管所
・寝室
・キャンプ道具倉庫
渋谷にしては広い物件。
マミィの見立てでは、引っ越したら今の3分の1の広さを覚悟している。
「半分以上、捨てなきゃ!」
●押し入れの上段から
DVDとBlue-ray40枚入りダンボール13箱を出した。
●キッチンの収納棚から
ロングステムのワイングラスやら、花彫りで洗うのが手間なお皿やら、使わない箸置き、引き出物のティーカップセットを出した。
先ずは眺める。
●520本あればレンタルショップができるか?
●高いワイングラスは売れるか?
次に空想してみた。
●レンタルショップ店員に扮したマミィの心の声。
「あれ!?TSUTAYAのエプロンって何色だっけ?あぁそー言えば学生の頃、大好きだった人がバイトしてたなあ。彼どうしてるかな?映画監督になる夢は叶えたかな?今も東京にいるのかな?」
●フリマアプリをググるマミィの心の声。
「え〜っと、あ〜やっぱり会員登録しなきゃだわ。登録方法は〜。メールアドレスで登録。Googleで登録。Facebookで登録。あ!Facebookで検索したら、あの彼のページの近況を知れるかもしれない。閲覧履歴って残るんだっけ?アレそれってmixiだっけ?mixiのアカウントまだ持ってたかな?」
空想が要らん方に逸れに逸れたので、
TSUTAYAもメルカリもせん!
●マミィは食器を捨てた。
●TSUTAYAはダディの所有物なので、彼のワークスペースに「邪魔だな捨てよう」と自ら自ずと思えるように配置した。
●押し入れ上段と、
●キッチンの収納棚に、
goo国語辞典通りの空(くう)ができた。
「VACANT」の張り紙をペッペ。
それから数日後_
押し入れは子供達の基地になった。
空想マミィから生まれ出た空想兄妹。
彼らはそこを「ツリーハウス」と名付けた。
「あらいいじゃない楽しそう」
押し入れで遊ぶ兄妹を見て、木の上で暮らすのも楽しそう、と思ったマミィ。
明治神宮に引っ越せたらいいのになぁ、と恐れ多い空想に突入した。
さあ果たして、485日後の家に屋根はあるのか。
この話が誰の何のためになるのか。
実録485日の2日目は
押し入れから布団の上にダイブする兄妹のシーンで
完
2021年11月29日ふみっ記