これは485日後に引っ越しをする家族の実話である_
This story based on a true story.
4人家族構成員
マミィ(40代)
ダディ(50代)
アニィ(小学1年生の兄)
イモゥ(年中さんの妹)
エピソード7.
なぜシブヤ?
マミィは485日後も渋谷区民でいたいと思っている
なんなら0を1つ増やして4850日後でさえも
マミィは自問自答した
「なんで私は渋谷にこげん執着するとやろか」※九州弁
シブヤに住んでいても故郷の訛りは消えない
もはや訛りだけがマミィの故郷
あぁ今年も帰省しなかった…
アニィが小学生になったら共通語を話そう
と心に決めていた時期もあった
語尾と特定の固有名詞と三文字のアクセントだけはどうしても訛らせたい場合がある
マミィがマミィ自身でいる時により一層訛る
シブヤはマミィの命の恩人
マミィは七年前とても辛い経験をした
七年前といえばアニィが誕生した頃
欲しくて作って授かった命だった
その人生最高の時期にマミィは人生最悪を経験しヒッチャカメッチャカになった
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人生の転機
家族のシ
過度のストレス
環境の変化
睡眠不足
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マミィが心を病むのに充分な条件がそろった
渋谷区には新生児訪問【こんにちは赤ちゃん訪問】というのがある
生後4ヶ月までの全戸訪問は子育てセーフティネットの一環であり厚生労働省にそのガイドラインがある
つまり日本の子育て支援策の一つ
てなことを今や平然とググれる健康優良児マミィ
産後七年でマミィはキャンプで腰をイワす以外は心身ともにピンピンしている
あとはそうだな
七年前より7kg増えた
そんなことすら平気なマミィ
だって彼女は今生きている
生きているから肥えるしイワす
あの時シブヤが救った彼女の命は
二つの命を生み落とし
つまりシブヤは三人の命の恩人やん!
当時の赤ちゃん訪問で【産後うつテスト】みたいなんをやらされた
5段階のチェックシート方式はとても簡単で
アンケート好きのマミィはスラスラ回答した
5.そう思う
4.どちらかと言えばそう思う
3.どちらとも言えない
2.どちらかと言えばそう思わない
1.そう思わない
5段階の2と4が苦手なマミィ
2=1
4=5
どんな時も1か3か5の三択にして回答している
そして当時は3すら苦手
いったん3に丸印してしまうと1と5に丸しづらくなってしまうマミィ
その大事そうな【テスト】に1か5の二択で回答したった
スラスラ回答したんがなおアカンかった
若くて美しい保健師さんの顔が陰ったのを覚えている
マミィは今なら分かる
あの時の丸印から以下の結果が出たことを
・気分の落ち込み
・倦怠感
・無気力
・自己嫌悪
・絶望感に劣等感
・自身喪失
・自責の念
・眠れない
・めまい
なんちゅうリスト
タイピングしてる指の先からヘドが出る
翌日から若くて美しい保健師さんの電話訪問が始まった
若くて美しい保健師さんはマミィに毎日電話した
(“毎日“は大袈裟で実際は違ったのかもしれないがマミィの記憶には“毎日“の印象で残っています)
「お変わりありませんか」
「お子さんはどうされていますか」
「こんな子育て情報ありますよ」
「渋谷区はこんなサポートしていますよ」
若くて美し..あーもー長い
しからしか
「若くて美しい保健師さん=若美さん」
で行く
若美さんは毎日の電話でいろんな声かけをされて
でも会話の趣旨は一つだった
「今日も生きていますか」
若美さんは当時のマミィの生存確認をしてくれる唯一の方だった
お元気ですか
大丈夫ですか
それらマミィが「No, I’m not.」と回答してしまうような類の声かけは一度足りとも口にされなかった
本来は人と接することが大好きで
新生児を抱えて離れられず自分の時間などゼロで
夫にも気付かれず
自宅に難病の実母を抱え
一日中誰からも感謝も労いもされず
外の大人と喋ることもなく
そんなマミィと会話してくれたのが若美さん
若美さんと話す時だけはイライラしなかった
当時のマミィは自宅の壁を蹴り
そして修理した壁をまた蹴っていた
修理代よ…
若美さんは渋谷区の職員の方
彼女は公務員の仕事をまっとうされていただけ
若美さんの雇用主は渋谷区
だからマミィの命の恩人はシブヤ
行政が産後鬱のママを救った事例です。
完
2021年12月9日ふみっ記