「サンタさんへ
サンタさん私はもうパパから色々もらっているので(プレゼントは)要りません。それと最後の願いです。家族全員、平和で幸せにしてください。では最後の言葉、サンタさんメリークリスマス
伸び太より」
小学校2年の愛息がしたためたもの。
クリスマスはサンタに手紙を書くことにしている。
最初は、その方が子供の欲しい物が分かるから、親の都合で始めた習慣だった。
そのうちに、手紙は国語の勉強になることに気づき、親が安心したくて、この習慣を続けてもらっている。
本当は手紙の文章などどうでも良い。
絵でも線でも、色でも折り紙でも。
相手に自分の意思を伝える手段として、手紙があることを先ずは知って欲しい。
自分の書いた物が道具にも武器にもなることに、いつか気づいてくれたら。
手紙には「宛名、前文、主文、結びの挨拶、署名、日付」と型があるのも良い。
型を習得して、型破りな大人になれ。
さて、今年の伸び太のクリスマスプレゼントはと言うと。
「要らない」
耳を疑った。
クリスマスプレゼントが要らない小学生が、この世にいるとは想像すらしていなかった。
気まぐれかと思って、翌日もその翌日もしつこく尋ねた。
わたし「サンタさんに何お願いするの?」
伸び太「プレデター買ってもらったから、もういい」
わたし「本当に要らないの?」
伸び太「うん」
ならば、そのことをサンタに伝えよう、と提案した。
要らないことも伝えておかないと、サンタ業務に差し障りがある、とか何とか取り繕って無理矢理に手紙を書かせた。
そして内心は、とても複雑だった。
実は今年、ハロウィンの仮装からも卒業したのだった。
伸び太8歳にして、ハロウィンとクリスマスがいっぺんに終わった。
何と子育てとは短いものであろう。
年に1度の催しが正直、面倒に思うこともあったし、手を抜くこともあった。
しかしいざ終わってみると、あの日あの時が昨日のことのように思い出される。
クリスマスに用意したプレゼント、ばれないように包装したこと、Amazonで売り切れてて慌ててヤマダ電機に行ったこと、寝かしつけた後の段取り、朝起きてプレゼントを見つける姿を撮りたくて定点カメラを設置したこと、早々に壊されたこと、すぐにおもちゃに飽きちゃったこと、今年は成功した来年はもっとこうしようとか夫婦の会話。
12月24日の子育て風景。
親になり、サンタがどれほど大変で奥が深いかを知った。やり甲斐すら感じていた。
パパに至っては、実際にサンタクロースをボランティアでやり始めた。
そんなパパだから可哀想に、伸び太の手紙を読んで泣いてしまった。
子供にプレゼントを贈れないサンタって、ひどく落ち込む。
一方の私は、伸び太の手紙に返事を書く係。
つたない英語で、サンタの代筆をする。
彼の文面を称え、いかに素晴らしい子供であるか褒め、そして感謝の気持ちをつづろうと思っている。
伸び太「ママ、今年は唐揚げでクリスマスツリー作ろう」
マックもケンチキもチョコケーキもオールOK.
クリスマスを家族で楽しめることが幸せ。
もう1通のサンタへの手紙
2022年12月20日ふみっ記