第01話『保護者代表は顔じゃない』
息子は3月に卒園する。
そして4月から小学生になる。
私は小学生ママになるのが楽しみで仕方ない。
スイミーさんの息子さんのエピソードが面白くって、子育てが怖くない。
勉強しないんだ宣言をした御子息に、スイミーさんは勉強しなさいと言わなかった。
小学校で遊び倒したスイミーさんの息子さんは伸び伸びと育ち、“やる気スイッチ“が入った途端、勉強ばっかりしているそう。
自分の行きたい学校を自分で選び、その先の自分の将来を見ている。
彼の自立は近い。
私には既に、彼が自立しているようにさえ見える。
スイミーさんの元を巣立っていく日は、すぐそこまで来ていて、
その日、スイミーさんはどんな気持ちになり
どんなお顔で見送られるのだろう。
私も私の子育てをやってみたいと思う。
スイミーさんを見ていると、きっと楽しいに違いないと思えてくる。
さて、
私は今、卒園式の準備に追われている。
ちょうど一年前に〜♪
保護者代表になった。
園からお話をいただいた時は、とても驚いた。
もし私だったら、私たち夫婦を保護者代表に選ばない。
理由は、顔がそれっぽくないから。
私が選ぶなら、仕草や身ごなし、立ち居振る舞いと言葉遣いに品があり、常識も分別もデフォルト設定の保護者の方を選ぶ。
隣の芝生は青々としている。
息子と夫と私がどんな人物かと言うと、
息子は、良くも悪くも声が大きい。
人見知りも場所見知りもなく育ち、「痛い」の次に「考える」を教えてきたので、理解はゆっくりだが、よく考える子に育ったと思う。
夫は、外見が目立つ。
先日は渋谷の街中で、F山M治さんに会釈された。もちろん面識はない。
ミュージシャンの方です、と紹介されたりする。本人もいちいち否定しないから、話がややこしくなる。
個性がダウンコート着て歩いているみたいな人で、たとえアベノマスクをしていても、おやっと目をひく顔つき。
そして妻である私はというと、特に何も。
ふくよかな中年の日本人女性。
街中で、知らない人の名前で呼び止められたり、私に似ている知人がいると言われたり。
どうもドッペルゲンガーが20人くらいいるみたい。
そんな私たち家族を、保育園は保護者代表に選んでくださった。
誰かが私を選んでくれた時、
私は断らないと決めている。
選んでくださった方を信じてみることにしている。
そうしないと、私は同じ道しか選択しないだろう。
私は私が選ばなかった方の道に興味がある。
知らない場所に行くのは心が躍る。
ただし、迷子や遠回りは否めない。
私が夫のプロポーズを断らなかったのに似ている。
今回も、謹んで園からのプロポースを受け入れた。
年長さんには、17組のご家庭がいる。
コロナ禍で懇談会中止になったこともあり、この四年間で17家族で集まる機会は限られていた。
17家族の人と為りを知るには、時間がまったく足りなかった。
唯一の共通点は、みんなが第一子だった。
しかし、親社会と子社会は別物。
子ども達は親友になり、喧嘩して仲直りして、競争や強力や、初恋もして、四年間を家族のように一緒に育った。
保育園の先生方は充分に彼らを愛してくれた。
私は彼らのために卒園式をやる。
そう答えが出てからは、保護者代表を気負わず引き受けられるようになった。
何たってゲンダイにはグループLINEがある。
LINEは最強だ。
ドラえもんだ。
藤子不二雄だ。
先ず真っ先に
17家族をまとめるのをやめた。
まとめない、と決めた。
まとめなくたって卒園式の日はやってくる。※コロナおとなしくしてろ
私の最初のグループLINEは、
「卒園式について園長先生からご相談されました」
17家族の返信LINEは、
長くなるので次回につづく。
※息子の卒園は2021年3月の出来事です。
2023年1月16日ふみっ記