
第02話『係を分ける』
卒園式について17家族にグループLINEしたら、ピコピコと返信が来た。
・とにかく素敵なものにしたい
・先生方に感謝を伝えたい
・出来ることが限られているが、その中で子供達の思い出になる式にしたい
あぁきっと卒園式は成功するわ
私はみなさんの返信に感銘を受け
そして、気づいてしまった。
これ以上、私にやれることはない。
なので、みなさんのご意見を
園に丸投げすることにした。
そうしたら、夫に止められた。
夫「まとめなさい」
私「そりゃそっか」
私はすぐ丸投げする癖があるので、それを夫に見抜かれた。
貴重なご意見を園に届けるために、回答書を作成した。
お迎えが遅くなってしまった日、門の前で園長先生に遭遇した。
私「これ持って帰ります?」
園「もちろんもちろん、いやぁありがとうございます!」
代表然とできない自分が情けない。
かっこ悪い渡し方になった。
しかし園長先生は、飛び跳ねるように喜んで受け取ってくださった。
あぁ卒園式は成功するわ、再び思えた。
回答書を手渡したら、肩の荷が下りた。
帰り道のママチャリは軽快で、代々木公園に寄り道した。
それから、LINEには具体的で面白いアイデアがピコピコ届いた。
よく思いつくなぁ、と感心しきり。
アイデアを全部並べてみたら、5つに分類できた。
これこそ!丸投げできる。
5つの係を作った。
17家族 ÷ 5つの係=3~4人/係
ちょうど良い数式に思えた。
私は早速グループLINEした。
「5つの係に分けました。私は4番のムービー係をやります(挙手のイラスト)」
返信LINE、続々。
「2番の寄せ書き係に立候補します」
「3番の記念品係やらせてください」
「1番のお花担当希望します!」
「お花係が多いようなので、5番の当日進行係に移動しますね」
「お役に立つか分かりませんが、ムービー係をお手伝いします」
1)花束係
2)寄せ書き係
3)記念品係
4)当日進行係
5)ムービー係
すぐに決まった。
一度も集まらずに、グループLINEで秒で決まった。
すごっ
日本人は挙手しないのでは無いか、と自分の偏見が恥ずかしかった。
そう、17家族の共通点は一つだけではなかった。17家族はみな我が子が大好きなのだ。
手は自然に上がった。
私はまた肩の荷が下りた。
係の名簿を眺めてみると、私には正確なパズルに見えた。名簿で缶ビール1本飲めるくらい、完璧な人員配置。
さらに、どうせ一人ぼっちだろうと諦めていた私のムービー係は、何と3人でやることになり、もはや映像は完成したも同然だった。
私にはアイデアが無い。
0から1を生み出せない。
1からなら2にも5にも膨らませる。
ちょうどその頃、私はふれ愛ベビマを完成させ、もくもくコーチングの編集中だった。
iMovieという映像編集ソフトを使っている。
中学生でも使えるくらいのソフト。
FinalCutProで鍛えられ挫折した私からすると、iMovieはLINEに等しい。
そして、このもくもくコーチングが、まったく思いがけず卒園式に役立つこととなる。
また長くなりそうだから、
※息子の卒園は2021年3月の出来事です。
2021年1月30日ふみっ記