
第07話『撮影しました』
卒園ムービーは、
・ご家庭で携帯で撮っていただいた動画
・赤ちゃんの時の写真
・園での集合写真
・その他、思い出の写真と動画
・今回のために撮ったママ係の写真
で作る。
それらを素材と呼んでいる。
人参、じゃがいも、玉ねぎ、お肉を使ってカレーを作るイメージだ。
カレー粉が無いと、肉じゃがになりかねない。
素材を切って貼って、繋げて巻き戻して、頭の中で何十回と編集する。
カレー粉が足りないことに気づいた。
私は、17人のママたちへ17人の子どもたちの撮影許可を申し出た。
さて、実はあと1カット、欲しい画があるのです。
それでね、週末に息子でサンプル動画を撮ってみたのだけど。。。
結論を申しますと。17キッズ、私に撮らせてください🙇♀️
もうみなさんには充分ご協力いただいていますので、さらに全体LINEで「もう1カット撮って」て言うのも、私には”何か違う”という思いがあります。
そして、肖像権の問題です。
その1カットも含めて、完成したムービーは園で上映します。
そこで、肖像権です。
もし、お母さんご自身が何か気になったり、心配な場合、カットの差し替えは無理ですが、カットをカット(削除)することはできますので。どうぞご遠慮なく、個人LINEをくださいね。
なので、上映からだいたい1週間後くらいを目安に、ご家庭でご夫妻でお気持ちをご確認ください。
ノーベル賞、歴史の偉人、芸能人、子どもたちの未来を想って、あらためてご連絡申し上げます。
ということで、私に1カットだけ、17名の子ども達を撮らせてください🙇♀️
敬具
LINEノートを手紙のように書いた。
ワタシのニホンゴツタワルカナ
LINE言語は非常に難しい
ワタシは私の言葉でしか書けない。
17人中4人がイイネ!してくれた。
イイネ一つでも嬉しかったので、私はそれを満点と捉えた。たった一人でも味方がいれば私は前に進める。
追加で私もイイネ!した。
LINEノートの翌日は、まじかの快晴。
「マジか」とつぶやいた。
真っ青な空を見て、緊張した。「今日は良い撮影ができる」と直ぐに分かった。
そこからはアドレナリン
着ていたコートを脱いで
H&Mのセーターの袖まくり上げて
園庭の子ども達を撮った撮った撮った
(園長と先生には説明済)
気持ちは篠山紀信、
撮影はアラーキー、
スタイルはドイル、
といった心持ち。
カメラマンの興奮を、ほんの0.01秒くらいシンクロできたような。
17人の6歳児はじっとしていない。
撮影後も、また撮ってとやって来る。
A子「縄跳び撮って」
B子「踊ってあげるから何の曲が良いか選んで」
C子「フラフープ撮って」
D斗「さっき緊張したからもう1回映して」
F也「撮らせないよー、うっそー」
こんなのが17人いる。
レシートの裏に、撮影済みの子の名前をメモった。
17人の1人である息子の撮影は、サクッと1秒で片付けた。我が子に構う暇はない。
年長さんを撮影していたら、
年少さんがやって来た。
うちの娘の登場。まずい。
娘のクラスメイトに見つかった!
「●●ちゃんママ、何してるの」
4歳児4人に同じ質問を繰り返された。
とうとう娘に見つかった。
満面の笑みでくっついて来た。
「外見はママに見えるかもしれないけれど、今はママじゃないのよ、撮影カメラマンなのよ」と無茶苦茶な説明をしたら、娘は半べそかいた。
かわいそうに。
年長さんが泥警(ドロケー)を始めたので撮影は終了。
先生方いつもありがとうございます、と撤収。
そそくさとその場を離れるつもりが、
園 児「●●くんのママ、バイバーイ」
わたし「バイバーイ」
別れの挨拶六往復
さて、とにかく撮影ができた。
それは、奇跡みたいな時間だった。
2021年2月17日ふみっ記