グラニーさんの旦那様(私の父)は、6年前にご逝去されました。
グラニーさんはショックのあまり、その日の記憶をご自身の中に閉じ込めてしまい、かつボケちゃったので、以来一言も旦那様のお話をされません。
【主な登場人物】
グラニーさん(77)私の母。
私(41)グラニーさんの娘。
【前回のあらすじ】
介護付き有料老人ホームから、療養型病院へ転院することになったグラニーさん。ケアマネさんの計らいにより、私は2つの惑星病院と面談。コロナ禍でも面会の手段がかろうじてある、ナブー病院(仮称)を選択したのであった。
父はパッと亡くなりました。
せっかくなので『グラニーさんのお話』に、彼も登場してもらいます。
名前は、そぅだなぁ
私の大好きなポール・マッカートニーに肖って、“Grandude”のデュードさんにします。
デュードさんは、死を以てして私を大人にしました。
彼が最期に私に課した問題は、
葬儀、遺族年金、生命保険、法要、遺産、諸々。
難問ばかり、よくもまぁこんなにたくさん出題したもんです。
「スパルタじじい〜!」
私は天に向かって幾度も悪態をつきました。
ニッポンでは、老いても死んでも“金”がかかります。
本屋さんををソウイウ目で眺めてみると、んまぁ〜並んでいますこと!
例えば、
『葬儀・相続 手続きとお金』
『家族が亡くなった後の手続きガイド 最新版』
『親と子の相続』
『図解 親の財産を見つけて実家をたたむ方法』
『遺品整理士が教える 遺す技術』
タイトルの圧たるや!
当時の私は初産婦。
新しい愛らしい命をお腹で育てながら、難病のグラニーさんと天国のデュードさんのために奮闘していました。
ソウイウ本を何度パラパラ立ち読みしたことか。
しかし、レジに持って行くことは一度もありませんでした。
葬儀、遺族年金、生命保険、法要、遺品、土地、家屋、諸々。
大人気なくて、下手ッピで、恥かいて汗かいて、失敗して、具合悪くなって、自律神経すり減らして、何とか課題を、、、こなし、ま、した。
あまりの課題の山に私は「誰か助けて」と言い忘れてしまい。挙げ句の果てが鬱状態。
鬱は、貞子の井戸に似ています。
私はホラー映画『リング』も好きです。
脱線しました。。
獅子は我が子を千尋の谷に落とす
ガオー
グラニーさん夫妻は、子どもへの人生勉強のさせ方がパナイです。
何ちゅう高さの崖から突き落とされとるんやろ私。
私が声を大にしてお伝えしたいことはですね、
「お金のこと、死ぬこと、生きてるうちに家族で話そう。ついでに保険の内容も確認しとこう」
です。
話す、これ一番の得策です。
そいでもって、この“話す”がめっちゃ大変です。
話すも大変
話さぬも大変
さぁ、どっちを選びますか。フフフ
もし、話すならば。
私のオススメは、お正月です。
新年でお屠蘇で炬燵で、めでたい正月に最も相応しくない”死”を話題にするのです。
人は、わざわざ戦争しなくても病気にならなくても、必ず死にます。
私にとって死は、生の最後んとこの点みたいなイメージです。
デュードさんと私は、よく死生観について話をしていました。
ある年のお正月
私「死ってどう思う?」
D「恐ろしいねぇ」
またある年のお正月
私「最近の死生観はどんなでしょう?」
D「うーん、命が繋がると思えば怖くなくなったばい」
※D=デュードさんは、九州弁です。
グラニーさんと私は、あまり折り合いが宜しくなかったので、この大切な会話をしそびれました。
元気だった頃のグラニーさんの言動を思い出しながら、彼女にとって何が必要で、どんな最期が望ましいのか、正解が分からないまま、私は課題に取り組んでいます。
次回は、いよいよグラニーさんの入院篇です。
10月までお待ちください。
乞うご期待!
2020年9月26日ふみっ記