2020年10月17日

グラニーさんのお話 #おしゃれ


【主な登場人物】


グラニーさん(77)私の母。


私(41)グラニーさんの娘。

 

【前回のあらすじ】


療養型のナブー病院(仮称)に入院したグラニーさん。コロナ禍ではオンライン面会しかできません。“今生のお別れ”に私はグラニーさんの爪を切りました。


 

A long time ago in a galaxy far, far away….

映画『スター・ウォーズ』より

 

グラニーさんは故郷タトゥイーンから遙か彼方のナブー病院に入院しました。

 

入院で持ち込める物は、限定されています。

 

靴、カーディガン、櫛、たったそれだけ。
※男性の場合は、櫛の代わりに髭剃りですって。

 

グラニーさんが最後に買った医学書も、
それを読むための虫眼鏡も、
仕上げようと思っている論文を書く鉛筆も、
置いておけません。

 

 

グラニーさんは、その身一つになりました。

 

 

入院は、オシャレも手放さねばなりません。

 

彼女はもう

オーダーメイドのセットアップを着て
お気に入りのパールのブローチを着けて、
お化粧をして、帽子をかぶって、
娘と美術館に行くことは

 

もう、ない。。

 

 

だから、私は言いたい。

 

「持っているダイアモンドは今すぐ着けよう」
「お気に入りのヒールは雨の日以外は履こう」
とっておきの物は、とっておかない方が良い!

 

 

私はグラニーさんの衣類を処分すると同時に、入院用の靴、カーディガン、櫛を新しく買いました。

 

写真が実際に選んだ、カーディガンと櫛です。

 

入院用ではなく、母の日だと思って選びました。

 

グラニーさんの好きな緑色、キラキラしたボタン、温かいニットのカーディガン。
昔よく二人で買い物に行って喧嘩ばっかりしてたなぁ、と思い出しながら買いました。

 

 

ところが現実は。

 

結局、彼女が持ち込んだ物は、今まで使っていた靴と上着でした。

 

“新しい物”や“上質な物”は彼女には、

=使いにくい物なのです。

 

結局、私が彼女にプレゼントできた物は、百均の櫛でした。

 

歯がゆい

解せない

せめて何か

 

私はこの期に及んでも悪あがきを止められません。

 

百均の櫛に「お母さん私を育ててくれてありがとう」と書きました。

 

読まなくてもいいから
気づかなくてもいいから

 

 

結局は、私のために書きました。

投稿者:fumi

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